ケース 3

広告代理店にすべて丸投げしていた運用を、インハウス中心に変えることで社員の意識が劇的に変化

当時の状況と抱えていた課題

スーパーや百貨店などの卸中心で事業展開をしていましたが、昨年からBtoB向けのECをスタートした菓子製造メーカー様。ECサイトを立ち上げてまだ日が浅いため他の業務と兼任の担当者がひとりで運営を行っていました。

Webのことは素人なので、複数営業を受けたなかから1社の広告代理店に、集客やサイト運営まですべてお任せすることにしました。月1回の報告会で進捗を確認する以外は、任せることができたので別の業務に時間を使うことができていたのですが、半年経っても全然売上が増えないことに焦りを感じてご相談をいただきました。

広告代理店のレポートを見ても、それが良いのか悪いのかも判断がつかないため、第3者視点での評価をしてほしいといったご依頼でした。

弊社では「売れる仕組みづくり」をご提供していますが、「運用チーム体制づくり」も非常に重要な要素となります。今回は、自社中心でECサイトの運用を行うことができ、足りない部分を各分野のプロに手伝ってもらう組織に変えることをご提案しました。

弊社に期待したこと

  • 広告代理店の運用状況に対するセカンドオピニオン
  • EC担当者中心で運用ができる仕組みづくり
  • 外部パートナーの活用方法を学びたい

問題解決のためのアプローチ

さっそく、過去のレポートを拝見したうえで、広告代理店との打ち合わせに同席をさせていただきました。そこで感じたことは「広告代理店もどうすればいいのか困っている」という印象でした。さらに、広告代理店の担当者とも直接お話しをさせていただいたところ、下記のような状況であることがわかりました。

  • 全部任せてもらえるのはありがたいが、CPA(成約単価)以外の具体的な数値目標がなく、ただ運用してるだけになってしまっている。
  • サイトの運用業務は、広告代理店ではやっておらず、別の制作会社に委託しているため広告とLP(ランディングページ)の連携を取るのが難しい。
  • 毎月の報告会も、数字を報告して終わりなので、議論することがほとんどない。

広告運用自体はしっかりとされているようでしたので、解決すべき課題を「目標設定や優先順位の判断」「評価指標(KPI)の設定」「広告とLP(ランディングページ)との連携」の3つに絞り込みました。速やかに企業のEC担当者との打ち合わせを行い、以下のような進め方で課題解決を行うことにしました。

  • 重要な事業方針や目標数値は企業側で考える
    自社だけで決められない点についてはコンサルティングを重ねながら、まずは事業の目標設定と、大きな方針を検討しました。
  • 提案依頼書(RFP)の作成
    広告代理店に対する依頼する仕事内容、領域、目標設定、成果物などを明確にしたRFPを作成。両者内での共通認識をしっかりと持つようにしました。
  • 積極的な提案が出せる環境づくり
    定例会を「議論する場」に設定して数値の報告はメールで完了することにしました。そのおかげで、定例会では双方のアイデアを出し合って磨き上げることができるようになり、改善策や新たなチャレンジすることが増えました。
  • EC担当者への勉強会
    毎月の定例会のタイミングで、毎回1時間、EC担当者としての仕事術や考え方についての勉強会を行い、実践で活かすことができるよう具体的なテーマに絞って学んでいただきました。

サービス導入による成果

BtoBではいきなり注文されることが少なかったため、まずはマイクロコンバージョンとして「無料会員登録」を設定して、広告媒体やメッセージを絞り込むようにしました。会員登録した以降にホワイトペーパーやメールマガジンで自社の特長を伝える動線も整えるなどの工夫をしたことで、徐々に注文数も増えてきて、1年後には売上金額がなんと4倍以上にまで伸ばすことができました。

それだけではなく、広告代理店からも毎月新しい提案がされるため、無駄を削減できた費用を新たなチャレンジに回すことができるという好循環が生まれてきました。万が一、ダメだったとしてもそもそもコスト削減できた費用なのでマイナスになることはないので、思い切った施策にもチャレンジできるというメリットもあります。

半年間のEC担当者の勉強会を行ったり、ご自身でもいろいろと勉強されることで、以前とは比べ物にならないくらいEC担当者としてのスキルや経験値が高くなられました。売上も順調に伸びたため、EC事業に専念することができるようになり、私のコンサルティングも初級レベルから中級以上となり、より難易度の高い施策に一緒に取り組むようになっています。

成功のポイント

外部パートナーへの丸投げは絶対にやめる

広告代理店は広告のプロですが、御社事業については素人です。しかも広告だけで解決できる課題はかぎられています。やはり事業の責任は事業担当者がしっかりと持って運用すべきです。

外部パートナーのやる気を出せるのがコツ

前向きな姿勢で取り組む仕事ほど成果もでやすいのは言うまでもありません。EC担当者の仕事は、提案を出しやすくする環境づくりだとも言えます。

EC担当者の仕事は非常に幅が広く、なおかつ専門性も求められますので、時間をかけてじっくり育てるか、専門家の力を借りるのが懸命です。