ケース 4

顧客分析によってお客様のことを徹底理解。商品アピール方法を変えただけで売上が前年比160%に

当時の状況と抱えていた課題

子供や女性向けのカジュアル服をECで販売している同社。商品の品質は高いものの他社との違いを明確に打ち出せず、価格で負けてしまうという状況に陥っていました。なんとか自社の商品の特徴をアピールしようとデザイン性の高さや素材の良さを全面に打ち出しましたがなかなか売り上げを伸ばすことは出来ません。限られた予算内でブランディングなどの施策もがんばってはいるもののなかなか反響はありませんでした。

こんなに良い商品なのにどうして折れないんだろうと頭を抱える担当者。近年ではユニクロなどのファストファッションが勢いを増しており似た商品が半値近くで販売されているのを見ると今後の方向性に非常に不安を抱えていました。

弊社に期待したこと

  • 競合分析によって、自社の強みを再発見する
  • 自社商品の特長をどのように伝えれば売れるのか
  • 今後のアパレルECの事業方向性

問題解決のためのアプローチ

私はアパレル業界には詳しくありませんので、今回は助っ人としてアパレル業界に強いパートナーにも参画してもらい業界の動向や今後のアパレル業界についても教えてもらいました。そこでわかったことは以下のような商品作りが必要であるということでした。

  • 商品の機能軸ではなく、ユーザーの利用シーンを考える
  • ワクワク感、満足感のような感情をうごかすことが重要
  • 「ユニクロとその他」の二極化が進む。「その他」のなかでどう差別化するのかが重要

服を愛用しているユーザーに話を聞いてみると企業側が想定しているのとは違った使い方をしていることがわかりました。 同社の製品はカジュアルなデザインでありながら耐久性や汚れにも強いため、アウトドアでよく利用されていたようです。 いかにもアウトドアブランドというのが苦手な人やちょっと近場でアウトドアを楽しみたい人にとっては、ちょうど良い商品だったと思われます。そこで商品の特徴を次のようにアピールして ECサイトにテスト的に掲載してみました。

  • キャンプや海遊びにちょうどよい!
  • アウトドアブランドの1/3の価格で買える!
  • ユニクロでは少し物足りないと感じるあなたに!

サービス導入による成果

一か月のテストの結果、想像以上の成果をあげることができました。 これまで購入されなかった層からの売り上げが増えるなど、思いもよらぬ結果となりました。また、これまでは月に数件しかなかったレビュー投稿数も3倍以上に増え、ほとんどが好意的なコメントであったことも後押しして、この取り組みを本格展開することにしました。 

まずは数名のユーザーに協力していただき、商品開発に関する座談会を何度か行うことに。ここでは数多くのアイデアが生み出されましたが、どれもメーカー側では発想ができないような斬新なアイデアが数多く出てきましたので、どれを選べばよいのか嬉しい悲鳴がでてしまうほどでした。

思わぬ副産物として、商品開発に関わってくれた主婦の方々がその商品を買ってくださるだけではなく、自主的に周りに宣伝をしてくれたたり、その着用シーンの写真をSNSに投稿するなど、これまでではリーチできなかった広がりを見せることができました。

これにより単月での売上が前年比の160%にまで伸びました。これまで右肩下がりで売上が落ち込んでいただので、今回のような明るい兆しが見えたことで現場スタッフのモチベーションも高くなり、今後に向けて様々なチャレンジを行っています。

成功のポイント

商品スペックからユーザー体験を重視するモノづくりに

価格と品質での勝負では大手には勝てない時代に。今後は、服を着ることで体験できる価値(ワクワク、楽しさ)や、一部ユーザーに熱く支持される個性が求められる。

主婦の声を活かした商品づくり

業界人の目線と消費者目線のギャップがあると、当然商品は売れない。ユーザーにモニターしてもらったり、利用体験談を聞くことで大きなヒントがつかめる。

アパレル業界はますます厳しい状況になっていますが、売れる仕組みを作り出せばしっかりと成長することができます。