今回は、これからWebサイトやECサイトを新たに作りたい、もしくは全面的にリニューアルしたいときに、絶対におさえておきたいポイントを紹介します。

特に中小企業のWeb担当者は、頻繁にサイト制作に携わることもないため、Webマーケティングが得意でも、実はWeb制作についてはあまり詳しくないケースが多いものです。

私自身の失敗の経験も踏まえて、これだけは抑えておきたいというポイントをランキング形式でお伝えします。

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第5位 制作実績だけで会社を選ばない

Webサイトを制作するときにまず行うのは、Web制作会社選びです。

既にお付き合いをしている会社がある場合でも、リニューアルをするということは、その会社に何かしらの不満があり大きく変えたいということもあるでしょう。

よくあるのが、Web制作会社のホームページをみて、制作実績の見た目や雰囲気で判断するというパターンです。気を付けないといけないのが、同じ会社の事例でも、それを作ったチームメンバーでない場合はまったくアテにならないものです。

Webサイト構築の成功を握るのが指揮官となる「Webディレクター」ですが、優秀なディレクターはなかなか確保するのが難しいものです。そのため、誰が担当してくれるのか、担当してくれるチームの事例なども確認しておくべきでしょう。

<ポイント>
制作事例だけで選ばない。どの会社がつくったよりも、誰がつくったのほうが大事。

第4位 運用までしっかり意識すること

どんなにキレイで優れたWebサイトを作っても、それを更新して、常に新しい情報を発信して、ユーザーにとって価値のあるサイトであると感じてもらえないとすぐにユーザーは離れてしまいます

これまでも、大金をかけてWebサイトをつくったはいいけど、運用に手が回らずに放置されているサイトを幾度となく見かけました。

ユーザーは敏感なもので、更新が滞っていたり、ニュースぐらいしか更新されていないサイトは、「よくないWebサイトだ」と判断して二度と戻ってきません。

構築する際には、最初に自社で更新するコンテンツは何か?どのくらいの頻度で更新するのかを決めておけば、制作会社からも「じゃあ、その部分は社内で更新ができるようにCMS(コンテンツ管理システム)にしましょう」という提案がもらえるはずです。

あと、社内の運用体制も重要です。人員の確保、誰が何を行うのかなど、事前に計画をたてておくようにしたいですね。

<ポイント>
Webサイトは作ってからがスタート。先を見越して依頼しましょう。

第3位 必ず資料化して伝える

これは私の失敗経験でもあるのですが、きちんと伝えたつもりでも、口約束はあてにならないということです。最悪言った、言わないの水掛け論になってしまい、せっかくのプロジェクトが台無しになってしまいます。

Webサイトを発注する際には、依頼主側の要望をまとめた提案依頼書(RFP)を準備することがおすすめです。私が使っていた資料を下記からダウンロードできるようにしましたので、こちらも参考に使っていただければと思います。

また、制作会社側からも、今回はこの仕様で作りますね。間違いないか確認してくださいねという資料が提出されますので、隅から隅まで確認をして、少しでも疑問があれば確認するようにしましょう。

怖いことに人間というのは思い込みをするもので、「当然これはやってくれるでしょう」などと思いがちです。その通りやってくれればいいのですが、最悪違っていた場合も文句は言えないと考えておきましょう。

[jin_icon_arrowdouble]提案依頼書のサンプルをダウンロードする(無料)

<ポイント>
口約束はわざわいの元。気の知れた取引先であっても同様です。これビジネスの鉄則ですね。

第2位 優先順位を明確にする

中小企業の場合、潤沢な予算で制作できるケースはあまりないでしょう。限られた予算で何を実装するのかは非常に悩ましいところです。

制作会社も、予算内でできるだけ希望をかなえたあげたいと工夫をしてくれるのですが、その場合に優先順位をつけてあげないと手の施しようがありません。

  1. 絶対に実装したい内容
  2. 優先度を高く実装したい内容
  3. できれば実装したい内容
  4. どちらでもよい内容

予算にもよりますが、通常は①②の実装を先に行い、③については構築後に必要に応じて順次対応していきましょうとなることが多くなりがちです。④は費用対効果を見て判断ですね。

やりたい目的と優先順位にあわせて決めるようにしましょう。

<ポイント>
限られた予算を有効活用するため、何にお金をかけたいのかを明確にしておきましょう。

第1位 サイト構築の目的があいまい

堂々の第1位は「目的があいまい」な依頼です。

失敗するWebサイト制作の原因で一番多いんじゃないでしょうか。お恥ずかしながら、私も過去にやらかしました。。。

そもそも目的がないので、何が成功なのかもわかりませんからね(苦笑)

「古くなってきたからキレイなデザインにしたい」
「アクセス数が伸びないからいっそリニューアルしてみよう」

などというプロジェクトはかなりの確率でこけます。

なぜなら、自社のビジネスに一番詳しいのは当然クライアント側なので、制作会社はクライアントが望む以上のものを作ることができません。
(もちろんデザインや見せ方などはいろいろと工夫をしてくれますが)

Webサイト制作の目的の決め方

例えば、ECサイトであれば、売上アップ大が最大のゴールとなります。では売上アップをするためには、どんなサイトにするべきでしょうか?

売上達成のボトルネックになっている箇所を洗い出して、それを改善するというのが、まずは取り組むべき方法でしょう。

売れない原因が、サイトの見づらさなのか、カートの使いにくさなのか、情報量が不足しているのか、スマホ対応ができていないのか、事前に分析をしたうえで、どこを改善すべきなのかを明確にしましょう。

コンサルティングが得意な制作会社であれば、事前分析も行ってくれる場合もありますが、もちろん制作費以外の費用もかかりますので、普段から自社のサイトの課題や弱点を把握するようにしておきましょう。

目的が決まればKPIも決まってくる

目的を決まると、KPI(重要業績評価指標)も明確になってきます。

KPIとは、会社の目標数値を達成するために必要なプロセスを数値化したものです。KPIが明確になると、何をやらないといけないのかが、非常に明確になりますので、必ず設定するようにしましょう。

以下は参考事例となります。
企業のビジネスモデルや目標によってKPIは異なってきます。

KPI=「かご落ち率」

カートに商品を入れたユーザーのうち、購入せずに離脱してしまう「かご落ち率」が50%だった場合、これを40%にするためにカート内の導線や入力項目を見直す

KPI=「会員コンテンツの登録率(登録数)」

顧客とのコミュニケーション頻度を高めるために、ユーザー参加型のコンテンツを設置して登録してもらう。目標登録率を25%に設定すると、約2万人となるため、これに対応できるデータベースやシステム構築を目指す。

目的が明確だとチームのモチベーションもUP

KPIまで具体的に決まっていると、制作のプロである制作会社からもいろんなアドバイスや提案が期待できることでしょう。

目的が明確でないサイト制作はトラブルにもなりやすく、制作メンバーのモチベーションも下がってしまいがちなので、発注する前に社内で議論して、RFP(要件定義書)にも明記するようにしましょう。

<ポイント>
目的がないサイトなら作らないほうがマシ。できれば数値化しておくと共有もしやすい。

ECサイトの構築方法と成長ステージ【基礎知識と3つのステップ】

【おまけ】サイト構築時に考慮すべきポイント

いかがでしたでしょうか?
記事を書きながら昔の失敗を思い出して切ない気持ちになりました、、、
これを反面材料として、皆さまに少しでもお役に立てると嬉しいです。

Webサイトを構築するときには、様々なポイントを考慮して依頼をしないといけません。面倒ですが、これをやるのとやらないのでは失敗するリスクが大きく違ってきます。

以下に、注意すべきポイントを挙げておりますので、必要に応じて自社で必要なポイントを洗い出す際の参考にしてみてください。

■基本情報
予算
スケジュール
体制
自社の特徴・強み
ベンチマークする競合他社

■コンセプト
目的、達成したいこと
新規/リニューアルにいたった背景
コンセプトキーワード
サイト名、サイトURL
メインターゲット
デバイス対応(スマホ、タブレットなど)

■デザイン
参考にしたいWebサイト
ブランドの世界観・ガイドライン
テーマカラー
フォントサイズ
禁止事項

■プロモーション
SEO対応の有無
出稿広告とランディングページ
SNSとの自動連携の有無
コンテンツマーケティング

■コンテンツ
3-1 初期コンテンツの数
ライティング対応はどこまで?
画像制作はどこまで?
作図はどこまで?
特集ページの有無、更新対応

■システム要件
ショッピングカート機能や決済機能
お問い合わせ用メールフォーム機能
顧客側で更新するためのCMS機能など

■その他
作業範囲
納品物・納品場所・受け渡しについて
運用・保守について
本番公開対応について
セキュリティについて
瑕疵担保責任の範囲や期日
制作費の支払いタイミング、方法

■初期提案時の提出物
プロジェクトスケジュール
体制図
デザインラフ
サイトマップ
機能設計書
お見積り

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